愛知県西部の尾張地方、名古屋市の西側に位置する町で多くの河川が伊勢湾へとそそぎ、町の１／４の面積を河川面積で占めるほどの水郷の町として知られています。この地名の由来も、かつてこの水郷に多くの蟹や水生生物が生息していたことに起因するようです。そのため当時は豊かな川魚や海の幸の漁場として漁業も盛んであり、蟹江町舟入などの地名にも残るように舟が川を行きかう町でもあったようです。しかし、近隣の干拓事業や排水事業の進展、防潮堤建設などで漁場が減り、漁業も衰退していきました。現在ではその名残が随所でみられるくらいになっています。

　ふな、もろこ、ぼら、などの川魚を使った料理がこの地方の郷土料理として知られています。ふなの子供を『新ばえ』と呼び、その新ばえを佃煮にしたり、もろこの佃煮をのせた押し寿司『もろこ寿司』、ぼらの内臓をとってみそや生姜や銀杏をつめた『いなまんじゅう』、冬の身のしまった鮒を大豆と味噌で炊いた『ふなみそ』など、独自の美味しい食文化を築いています。　また、木曽三川を隔てた近隣には「時雨蛤」で有名な三重の桑名、すぐ東には尾張名古屋があり、個性豊かな食文化が広がっています。

弊社は、そうした背景から当時は地元でとれた新鮮な鮒やもろこを佃煮にして販売していましたが、現在はその一部にとどまり、ほとんどが全国各地で原料を仕入れて製造しています。しかし、原料は新鮮で良いものを選び、味を決める調味料も地元の醸造メーカーのコクのあるものを主に利用しており、この地域の郷土の味を守るよう、こだわりをもって丁寧に製造しています。